第3章 さん
マジでこの答え何?
モルって何?
私よくJDやってんな?
てか、これいつ習った??
仕方ないじゃないか、化学なんて選択するつもりなかったんだ。
文系一本でやってこうって思ってたんだ。
…英語話せないけど。
…日本語も危ういけど。
「おい、聞いてんのか」
「なんですか?!」
「うお!?キレんなよ?コレの5巻と、6巻どうしたよ?飛んで7巻しかねぇけど」
「友達に貸してから、帰ってきてないんです。…と言うか静かにしてくれません?集中出来なくて問題も分かんないし!」
「あぁ?…………どれ、見せてみやがれ。」
「松田サンにわかるんですか?」
「どう言う意味だそれ。……って、ここは答えBだぞ。Cじゃなくて。当てずっぽうでやるなよな。」
答えじゃなくて、やり方を聞きたいのに。
だって答えは、最後のページに載ってるんだもん。
「合ってるし…」
なんか納得いかない。
まぁ、警察官って言うなら頭いいんだろうけど。
「じゃあ、ココは?」
「あぁん?めんどくせぇな。授業聞いてれば分かんだろうが」
かっちーんときた。
そうですか、そうですか。
《バーカ。好きな女にはやらねぇよ》
好きな女には優しく手取り足取り教えるんでしょうね。
松田サンにあんな顔させる相手なら、優しく教えるんでしょうね!
このネタずーっと使ってやる。
本人には言わんけど、ずーっと言ってやる。
それにしたって松田サンから授業聞くって言葉出ると思わなかった。
私だって真面目にきいてるもん。
ちゃんと質問してるもん。
でも仕方ないじゃないか、先生とあまり馬が合わないんだから。
課題はおわんないし、松田サンいるから落ち着かないし。
中途半端に聞いたから想い人のこととかすっごい気になるし!
やっと巡り会えた運命の人なのに、その人に想い人いるなんて聞いてないし!
出会ってすぐなのに、私松田サンのこと意識しすぎじゃない??
全くタイプじゃないのに!
思い出せ、私のタイプは金髪蒼眼の王子様だから!!
…って、言ってて悲しくなってきたわ。
じわっと目がうるむ。
だって、悔しいんだもん。
分かんないからじゃないもん。