第3章 さん
「俺と同じ警察官だった。アイツは、俺より警察に向いてたよ」
「松田サン警察官だったの?!」
「言って無かったか」
「ない!」
えぇ…堅気を守る、正義の味方でしたか。
「じゃなきゃ爆弾処理なんてできるわけねぇだろうが」
「理工学的なのを噛んでればできるのかなって…」
じゃあ、松田サンのお相手は憶測で言うところの、女警さん?
確かに男の社会の女の子ひとりなら、紅一点というか松田サンだって惚れるに違いない。
「夢半ばだったが、楽しかったよ」
「夢半ば…?」
「俺の夢は警察になって、トップ…つまり、警視総監を殴って跪かせようっていう魂胆だったからな」
「え?」
なんか、矛盾してる気もする。
「矛盾って思ってるだろ?」
コクッと素直にうなづく。
「分かんなくてもいーんだよ、コレは。俺がケジメつけることだからな」
やっぱり、わかんないな。
掴めない…
「俺は俺の信念って奴だけで、衝動的に生きてんだ。お前は自分の目で見て判断しろ」
「いや、松田サン生きてませんよ」
「お前すぐ上げ足とるな?!…って、いいけど別に」
松田サンは、私のベットへと寝転がりなぜかものに触れることをいいことに、ベットサイドにある少女漫画を手に取っている。
「最近の女子は、こんなもん読むのかよ?ほぼエロ本じゃねーか」
「偏見だし、R指定じゃないんでガチでやめてください」
なんて言ってる割に、集中して読んでやがる…。
まぁ…いっか。自由にさせとこう。
この間に課題を済ませられるし。
……………と、
始めたのは1時間くらい前。
松田サンは、ベットサイドの少女漫画じゃ飽き足らず、本棚にある続編にまで手を出している。
少年漫画も同じくらいあるのに、そっちじゃなくて少女漫画選ぶあたり松田サンユニーク。
手が早いな、おい。
ちなみにその漫画より、その隣の段の小説も面白いから読んでほしい。
特に、85ページのお別れのシーンが!!
…って、気が散るからマジでふよふよ辞めてほしい。
「なぁ」
こっちは化学の問題で頭を抱えてるって言うのに。
「おい」