第3章 さん
…絡まる指。
弄ぶような手つきで、指も手のひらも松田サンに支配される。
「んっ、」
「あんだよ?」
「なんでもないです、」
なんだこの人の手つき。
プロのそれ?
プロって何?
焦るように無駄に思考が回る。
手つきが優しくて、思考回路ショートしそう。
「ひやぃ」
「感じてんの?」
「…R指定してないので、そう言うの辞めてください」
「メタ発言すんなよ。で、今の声なに?」
「掘り下げないでくださいよ、…………って、マジでその触り方、グラサンかちわりますよ?」
「やめろ」
「まぁ、グラサンかち割ったら松田サンのアイデンティティ無くなっちゃいますもんね?」
またさっきと同じく、頭にぐりぐりされる。
本日3回目である。
「松田サン、誰にでもこうするんですか??こんなぐりぐりしてたら、松田サンの想い人さん頭ボコンボコンにへっこむし、こんな暴力振るってたら嫌われますよ??」
「……」
何その顔。
どんな顔してんの。
「バーカ。好きな女にはやらねぇよ」
ねぇ、生前どんな子と知り合って、どんなふうに好きになってどんなふうに生きてきたの。
松田サンにそんな顔させる相手がいたってこと?
くっと、唇を噛む。
……だって、自分の赤い糸の先に繋がった運命の相手だから。
気になってしまうじゃないか。
仮説として彼の未練が理由じゃなくて、私の運命相手っていうのが成仏できない理由だとしたら…
こっちだって胸くそ悪いじゃないか。
「変な奴」
「まぁ。……私AB型だから」
「血液型関係ないだろ」
「関係あるよ、意外と合ってること多いもん」
納得のいかないような顔をした後、松田サンがため息をついた。
何でこんなに胸が締め付けられるんだ。
全くタイプじゃないのに。
「…松田サンが、爆弾処理しなきゃいけなかったのは、その想い人さんのせいなの?」
それでも松田サンは、私の運命の相手なのに。
「想い人っつうか、親友だよ」
「親友?」