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無色透明な赤い糸       【DC】【松田】

第3章 さん


 「狭い家ですけど、どーぞ。」
 「ゴンドラよりは広いな」

 かっちんですわ、それは。

 「ゴンドラより狭かったら、犬小屋じゃないですか。」

 我ながら偏見である。

 「松田サンにはちょうどいいでしょうけど」
 「オイコラ、どういう意味だそれ」
 「そのまんまの意味ですけど」

 しばらくバチバチと火花が散る。

 「で、お前に聞きたいんだが」
 「なんでしょう?」
 「俺はせっかくゴンドラから出たわけだが」
 「はい」
 「自由行動したいんだが」
 「却下ですね」

 というか、そういうのを許可できるんだったらとっくにしてるんだけど。

 「…………わかった」
 「納得するんですね」
 「俺の未練が分かった」
 「はい?」
 「お前から離れることだ!!」

 …松田サンって、頭弱いんだろうか?
 すっごいドヤ顔してるけど、アホの子なのかな?

 「なんだよ、その顔」
 「松田サン、未練って言うのはですよ?生前に出来なかったことが後悔として残ることなんですよ」
 「ん"?あぁ」
 「仮説として、私といるのが嫌で未練っていうなら、私と生前関わりがないといけないわけですよ。
 少なくとも私、松田サンと関わりなんてないし、関わってたなら記憶に残ると思うんですよね。
 (こんなグラサンのテンパでデリカシーなかったら)」
 「お前、括弧の中丸見えなんだよ」

 ぐりぐりと頭のこめかみあたりをこねられる。
 こねるって言う表現合ってるかわかんないけど。
 伝わらないと言うなら、某アニメの春日部の五歳児が母親にやられてるアレを思い出して頂きたい。

 ちなみに本日2回目である。

 「アホになるから、やめてください」
 「もともとアホだろうが」
 「出会ってせいぜい2時間程度でそれいいますか?」
 「間違ってねぇだろうが?」

 まぁ、間違ってはないけども。

 「というか、どうして私に触れてるんですか?」
 「あぁ?」
 「松田サンが触りたいって強く想ってるから、私に触れてるのでは?」

 ゴツンとゲンコツをきめられる。

 「さいてい」
 「そんなに飢えてねぇ」
 「どうだか」
 「でも、確かになんで触れるんだろうな?さっきは通り抜けたのに。おい、手ェだせよ」
 「はい?」

 "はい?"

 なんて聞く前に左手に絡まる、松田サンの私より大きな手。
 
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