第2章 に
「あ?なんだよ?」
「え?」
「今、お前に引っ張られたような気がしたんだけど」
…まさかね。
「さ?さぁ…気のせいじゃないですかね?」
「声裏返ってるぞ」
むしろ、気のせいであれ。
そう思いながら、ぐいっと今度は少し強めに引っ張ると、ギュンと私の方に松田サンが迫ってきた。
一歩間違えれば、キス寸前だ。
間一髪、避けたから大丈夫だったけど、…私は。
「テメェ…いい度胸だなぁ」
ガンッとガラスにぶつかった松田サン。
「す、すみません」
ワナワナと拳を震わせ、ゆっくりとガラスから離れるとグラサンの影でギラッと目があった。
「どう言う仕掛けだコラ。答えやがれ、クソガキ」
「わたしにも、何が何やら」
私たちの運命の糸が繋がっているからです、なんて誰が信じるんだろうか。
少なくとも、この人は人の話信用しなさそう。
だって金髪蒼眼じゃないし、マント羽織ってないから。
というか、幽霊なのにこの糸は視えないのか。
ジャンル違いなのか?
というか、この人そもそもなんで幽霊になってまで観覧車にこびりついてるんだろう。
こびりついてるんだろうって言う表現はよくなかったな。
汚れみたいで可哀想だ。
「おい、何憐れんだ表情してんだよ」
「なんでもないです。
ところで、松田サンがどうしてここに乗っていたのかわかったら、多分この謎も解けると思うんです!」
ほら、ジト目。
サングラス越しにだってわかる。
ジト目のオーラすごいもん。
でも、私負けない。
「と言うわけで、先にそちらを教えていただけないでしょうか、」
「ヤダ、無理」
「女絡みでもない、観覧車への未練でもない、でも、観覧車に取り残されてるなんて、少し不憫です」
「アンタにゃ、関係ないだろ」
「関係あります!あるんです!」
「へぇ………どんな??」
ぐむむっと口を紡ぐ。
「だって、幽霊が、ぅ…ぃ」
語尾が縮まってく。
「もし、もしも松田さんが一国の王子様だったとしたらですよ??」
「安心しろ。そんなわけねぇだろ」
「確かにその身なりじゃ」
「ったく。いちいち可愛げのねぇ女だ。爆弾事件あったろ?それ、解体してたらこのザマよ」
「え?」
「あんだよ」
上から下まで見回す。