第2章 に
なんて、そんなことを必死で考えてると
「お前も幽霊の類いなのか?」
と、グラさんが言ってくる。
だって名前わかんないんだもん。
「あの、お前"も"ってなんですかね?"も"って。」
「お前馬鹿か?」
この人、名前聞いたくせに呼ばないタイプか?
そして、人の話聞かないタイプか?
「お前も幽霊なのかって聞いてるんだから、答えは"そうです"か、"違います"の2択だろうが。質問を質問で返すんじゃねぇ」
…まぁ、確かに、
「違います」
「あぁ"?」
蛇に睨まれた蛙ってこのことか、ひゅんっと喉がなった。
だって怖いんだもん。
「あの、」
「…なんだよ」
「あなたこそ、どなたなんですか?おばけ、…なんですか?」
「俺は、松田だ。お化けじゃねぇ、幽霊の類いだ。多分な。」
恐る恐る聞いたのに、こんなに堂々と答える人がいるのかと他人事に思いながら、幽霊が運命の相手なんて…
幽霊か…。
運命の人、居ないんじゃなくて
もう、"この世"に"いない"んだ。
そりゃあ、運命の糸も消えるって。
そう噛み砕いているとびびっていたのも、一周回り冷静になってきて。
…観覧車だけに。
なんか、このボケさっきも使えた気がする。
って、やかましいわ。
「そんなことより松田サンは、どうして観覧車に?あー……、観覧車に乗れなかったのが未練でとかですか?」
今日の私どうかしてるわ。
「ちげぇ」
白昼夢ってことにしとこう。
「じゃあ、観覧車で彼女さんに振られたとか?告白の失敗とか?よくありますよね、観覧車の頂上でキスするとうまくいくとか」
…そもそも、赤い糸視えてる時点でトチ狂ってるんだから。
「だから、ちげぇよ。俺が振られると思うのか?」
「天パだし、グラサンだし、スーツだし、金髪蒼眼ならまだしも」
「急に失礼なやつだな。それに、後半絶対アンタの趣味だろうが、馬鹿」
「バカって言う方がバカって言ったらお前もバカじゃんって言われそうなんで、辞めときますけど」
「めんどくせぇな、お前」
笑顔で手が出そうになったんだけど、辞めた。
だって、私大人だから。
ぴんっと赤い糸を引っ張ってみる。
どうにかして千切れないかなって思ったけど、軽い力では無理そうだ。