第4章 4th
家に着いて、1番始めにしたのは冷蔵庫を開けること。
研二は、焦らなくてもいいって言ったけど、私もう、後悔したくない。
「あ!プリンだっ」
「まず手洗いうがいでしょうが。まぁ、でも。好きでしょ?」
「いいのいいの!すきすき!どうしたの?コレっ」
「某サイト見て作ったんだよ、固まって良かった」
「ありがと!研二!!大好き」
ぎゅっとだきつく。
こんな事、前ならしなかった。
でもさ、人間って永遠じゃないからさ。
写真で残しても、
どれだけ話しても、
笑い合っても、
それがずっと続くわけじゃないって、
満足で終わらないって、
研二を責めるつもりはないけど、本当に痛い程よく分かるんだ。
「さて、プリンを食べながら、アルバム見るんだっけ?」
「うん!やっぱりご飯あとにしよう!アルバム見るのいつぶりだろ、楽しみっ」
「その前に手を洗って来ましょう」
「研二、なんかママ度増した?」
「ははっ、ちげぇーよ。ゆりが風邪ひいたらやだし。
俺が大切にしてやらないと、って、…なんでもない」
「研二?照れてる?」
「う、うるせ」
「今の、松っぽかった!かわいいっ、」
「早くしねぇと、プリン全部食うからなぁ〜?」
「わぁ、ごめんなさーい!手、洗ってくる」
しょうもない、やり取り。
研二のため息が聴こえる。
なんでもないことが、なんでこんなにポカポカした気持ちがするんだろう。
「手!洗って来たよ」
「じゃあよし、次は時計直しちまうか」
「そのまんまでいいのに」
時計直すなんて後にして、ゆっくりしたいのに。
「私、慣れちゃったよ。それで」
「生き急ぐなよ、もったいないだろ。俺が言えた義理じゃねぇけどさ、家にいて5分あればなんでも出来るぜ?」
「それもそうかなぁ、んー、」
「俺がやってやるからさ」
「うん、まぁ、分かった。どっちでもいいし」
「よしよし。じゃあ、さっそくやるか」
部屋にある時計の時間を直す。
私の手によって5分早められた時計は、研二の手によって元に戻される。