第3章 3rd
「京極君も、強さ求めて修行で世界回ってるもんね。」
「すごいな、2人の彼氏君たち」
「力と知識かぁ…警察官になったらすごいことになるね。あの2人タッグ組んだら、世界中の犯罪撲滅しそう。蘭ちゃんも強いし」
「ゆりさんにそう言われると、なんか嬉しいです。…って、ゆりさんと萩原さん同期ってことは、萩原さんも刑事さんだったんですか?」
ギクリと肩が跳ねる。
「んー、元ね。」
「元?今は何してるんですか?」
「なんだと思う?当ててみて?」
蘭ちゃん警察関係者とも仲良いもんなぁ。
変に、勘づかれるのも…
「わかった!!ホストだ!」
「いや、なんでゆりさんがノリノリで答えるのよ」
と言いつつ、色気をだしてわざと甘い声を作る研二に、私は思わず笑いを堪える。
「んん"っ、今日も来てくれたの可愛いね、子猫ちゃんたち。
えぇー、何?俺の職業?…君のハートを狙ういわば、恋の怪盗さ。
ドンペリ頼んだら、おしえてあ、げ、る。え?ボトル開けてくれるって?へい、ボーイのアムピくん。ドンペリを」
しれっと近くにいたゼロに、流れるような仕草で絡む。
「い"っ、」
テーブルの死角でちょうど2人からは見えない、研二の足をゼロが横目で捉えて素早くロックオンして、ショットする。
一連の素早い動きは、みずとも長い間一緒にいたから想像がつく。
「萩原さん、そんなんじゃナンバーワンどころかクビになりますよ」
ここに他のみんながいたら、悪ノリして誰が1番ホストに向いてるかーなんてやるんだろうな。
「お二人仲がいいですね」
「まぁ、それなりには」
蘭ちゃんが微笑ましくいうと、園子ちゃんが悪ノリする。
「なら、安室さんもお手本見せてくださいよ!萩原さんチェンジで!」
「あはは、研二、チェンジだって。韻踏んでる」
私が1人でツボっていると、ふっと空気を作ったゼロ。
一瞬で儚い顔を作る。
ゼロは顔いいもんなぁ、もはやお得意の顔芸。
潜入捜査で培った演技力。
「園子さん。とんでもない、コイビトがいる女性を口説くなんて真似、僕には到底できませんよ」
トリプルフェイスの無駄遣いだ。
…いい意味で。
「ふっ、」
あの頃も楽しかったけど、こうやって違う人たちとの交流も案外楽しかったんだ。