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残り香     【DC】【萩原】

第3章 3rd


 「待って、今の安室さん、すご〜ーく、イケてたから!ナチュラルに貢ぎたくなる顔してた!
 ね、蘭!」
 「園子ちゃん、俺のホストはどうだった?」
 「ランク外ね」
 「きびしぃー!」

 その一言を聞いて、もう笑いが止まらなくなった。
 そして、ちょっとドヤ顔なゼロ。

 「あははっ、もうだめ、あはっ、」

 こんなに笑ったの、いつぶりだろう。

 犯罪も悪の組織も、ぜんぶ全部悪いことこの世から無くなって、今がずっと続けばいいのに。
 松も、ヒロも、班長も、みんな戻ってきたらいいのに。

 「ゆりさんがこんなに笑ったの初めてみた」

 ボソッと呟いたのは、園子ちゃんだったか、蘭ちゃんだったか。

 「…ゆりは、昔から笑い上戸だったんだよ。本当にツボが浅くて、笑った顔に惚れたんだよなぁ」
 「うわ、もうお腹いっぱい」
 「でも、お二人お似合いですね」
 「たしかに、最初はどうしてこんなチャラそうな人とって思ったんですけど」
 「待って、あずさちゃんまで辛辣」
 「研二はチャラいけど悪い子じゃないっていったでしょ」
 「そうでした。まぁ、でも。この短時間でゆりさんが大好きってヒシヒシと伝わってきました!」
 「そうそう、見た目の割に一途そうっていうか!」
 「うん、研二って一途だし。意外と陰で努力するタイプだし、根性あるし、優しいし、しっかりしてるし、おもしろいし、ノリいいし、」

 2人が褒めてくれたから、私語ってしまったけど。
 言ってるうちに冷静になってきて、顔に熱が上がるのがわかる。

 研二にここが好きって、あんまり、言ったことなかった。

 研二のここが好きだって、誰かに聞いてもらったことなかった。

 「ごめん!忘れて!ほんとに、ありえん。女子高生にこんなおばさんが何言ってんだって話だよね!?恥ずかしすぎて爆発しそう!
帰る!」

 ガシッと立ち上がった私の腕を掴んだ園子ちゃん。

 「まだ帰しませんよ」
 「鬼、あくま!さたん!」
 「ゆり照れると語彙力無くなっちゃうんだぜ、かわいいよなぁ。」
 「あはは、ほんとベタ惚れなんですね!」

 昔したかったことが、何をどうして今更になって叶うんだろう。

 「2人の話も聞かせてもらうからね!」

 
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