第3章 3rd
「ちょっと、園子!」
「って!今日お客さん2人だけ?!って、美男美女がいると思ったら、ゆりさんじゃない?!」
急に騒がしくなったと思ったら、蘭ちゃんと園子ちゃんだ。
「あ、君たちが噂の?」
「はい。蘭さんと園子さんです」
この2人が来る前に退散しよう作戦は、あえなく失敗した。
2人のことは大大大好きだけど、研二と一緒の時は困る。
「この男誰よ、紹介しなさい!」
「こら、園子。失礼だよ!こんにちは、ゆりさん。騒がしくてすみません」
「こんにちわ、2人とも。こっちは、萩原研二って言って私の元同僚」
「兼、コイビト♪研二クンって呼んでね?」
ウインク飛ばしてる研二。
いけすかん。
「安室さん、通報しておいて」
「了解」
「2人ともイケズ〜、…まぁ茶番はここまでにして、よかったら一緒にお話ししない?」
「俺の知らないゆりをしりたいって?!くぅ〜…っ!」
「園子ちゃん、」
「何よ!いいじゃない、ゆりさん、どうして恋人いること教えてくれなかったのよ!」
鼻息を荒くする園子ちゃんに、何も答えられない。
だって、"ずっといなかった"んだから…。
「それは、」
言葉に詰まると、掬い上げるようにフォローしてくれたゼロ。
「まぁまぁ、園子さんはその辺にしてあげて。彼女は恥ずかしがり屋だからさ」
「仕方ないわね、でも詳しくあとで聞かせてもらうわよ!」
「お手柔らかに」
「2人ともご注文は?」
「私はねぇ…あ!あの看板のやつ!」
「私もそれ食べたいって思ってた!新作ですよね?」
「お二人とも、お目が高い!かしこまりました。いつものテーブル席でいいですか?」
「はーい!いこ、蘭!ゆりさん達も!」
元気よく腕を引かれ、頼んでたものは梓さんの手によってテーブル席へと移された。
「すみません、園子が」
テーブル席についてすぐ、私たちへとフォローを入れた蘭ちゃん。
ご両親のご教育の賜物かな?
園子ちゃんもいい子だけど、蘭ちゃんってばとってもいい子。
「いいっていいって、俺もゆりから聞いて2人と話してみたかったんだ」
にっこりと笑う。コレでオチない女の子はいないと思う。
…そこから、園子ちゃんによる品定めが始まった。