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残り香     【DC】【萩原】

第3章 3rd


 梓さんにも視えてると思うのと同時に、研二、とんでもない爆弾仕掛けたなと思った。

 「それってつまり、」
 「おおっと、みなまに言うんじゃぁねぇ。アムピがジェラっちまう」
 「ごめんね、梓さん。研二、チャラいけど悪い子では無いから」

 ほら、梓さん驚きを通り越して真顔になってるから。

 「びっっっっっっくりしました」
 「仲良くしてね、梓ちゃん」

 ニッコリ笑った研二。相変わらず、初対面の女の子に近づくのうま過ぎない?

 「あ、えっと。榎本梓です、ゆりさんはお姉さんみたいで、良くしてもらってるんです。相談とかものってもらったりして、お世話になってます」

 ホワホワとした梓さんと、チャラついた研二。
 大丈夫かな、研二チャラすぎて浄化されない?

 「そっかそっか。ゆりと親しくしてくれる、女の子がいるなんて、俺も安心だな。ほら、ゆりって、頑固だし意地っ張りだし、その割に繊細だし。めんどくさいけど、可愛いところも多いし」
 「きゃー、ノロケられちゃった!彼氏さんしか知らない、ゆりさんの一面ですね、もっと聞かせてください!
 蘭ちゃんと園子ちゃんとか居たら、盛り上がれるんだけどなぁ」

 …なんだそのカオス。
 あの2人、恋愛になると見境ないからな…。

 「女子高生の子なんですけどね、すごく素直ないい子達なんですよ〜っ!彼女達もゆりさんのこととても慕ってるんです!」
 「へぇ、それぁ俺が知らないゆりの一面だな」
 「ふふ、もうすぐ授業終わる頃だろうし、1時間くらいしたら多分こっちにも顔出してくれると思うので、時間があれば是非」
 「2人して、ゆりさんの知ってるとこ自慢ですか?それなら僕もありますよ、…ね、ゆりさん」

 ことっと、頼んでもいないのにいつも通り私の好きなコーヒーセットを目の前に置いて、研二にも全く同じものを出していた。

 「コレは、彼女がここで召し上がるお気に入りの商品です」
 「あぁ、コレか。実物食べてみたかったんだよ。ありがとう、安室ちゃん」

 …なんだか、恥ずかしいな。

 みんな、よく私のこと見ててくれてた。
 あの日色を無くしたような気がした世界も、今は段々と本来の色を取り戻し、あの頃送りたかった毎日がここにある。

 大切なものが、今ならよく視える。
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