第3章 3rd
「まぁ、奪いにくるっつーなら受けて立つけど」
「君、…俺に勝てると思ってるのか?」
2人だけで、なんか始めた。
昔もよくやってたっけ。
なんて思いながら、2人を通り抜けて中に入る。
涼しいなぁ。
なんて思っていると、
「いらっしゃいませ〜!わぁ、ゆりさん来てくださったんですねぇ」
…と爽やかで優しい笑顔に迎えられる。
「こんにちは、梓さん」
そう言えば、梓さんに研二は視えるんだろうか?
「お外に安室さんいませんでしたか?」
「あぁ、居ましたよ。挨拶してきました」
「そうでしたか、でも、今日お会いできて嬉しいです!」
「え?どうして?」
「安室さん、ゆりさんにサンドイッチ配達するって言って、戻ってきた後いつもと様子が違かったから、何かあったのかなって。ほら、安室さんゆりさんをすごく気にかけているようだったから、ついに報われたのかなって」
丸いお盆を胸元に抱えて、ニッコリ笑った梓さんに思わず出してもらったお冷を吹き出してしまった。
「大丈夫ですか?すみません不躾に」
ニコニコ笑ってるから、多分ほんとに純粋に気になっただけなんだろうけど。
というか、ゼロ色々と梓さんにバレてるんじゃ無いの?大丈夫?
それでトリプルフェイスやっていける?
「…梓さんに、特別に教えてあげる」
「なんですか、なんですか〜?」
「安室さんに、そういう感情はないよ。私は、」
「えー!勿体ない!安室さん、無断欠勤と遅刻と早退は多いけど、それ以外は誠実じゃないですか、なんでも知ってるし、なんでもできるし」
「まぁ確かに」
うちの同期、改めて梓さんに甘えすぎでは?
「ポアロ、安室さん入れないとき、私手伝いに来てもいいよ?」
「ほんとですか?!あれ、でもゆりさん、警察官ですよね?副業、大丈夫なんですか?」
「あれ?安室さんから聞いてない?」
「はい、」
その時、安室さんと研二がやっと中に入ってきて、研二が私の隣に座ってきた。
「仕事、辞めたんだよね」
「え?!」
「結婚するためにね」
バチコーンっとウインクをした研二にギュインと視線を向けたのは、何も私だけじゃない。
「えぇ?!って、あなたは?」
「俺は萩原研二!俺は、ゆりの一生大切な人」