第3章 3rd
「それが、よくわからないんだよなぁ。俺にも」
「は?」
「降谷ちゃんが解き明かしてくれてもいいんだぜ?
俺的にはゆりへの愛が、肉体と言う壁を越えたんだと思っている。」
「もはや、人じゃないな」
「そうそう。だから、ゼロ。ゆりのことは、もう少し待ってくれや。さっきの一発はそれでチャラにしてやるからさぁ?」
頼むよ〜と、おどけた様子でハギがくねくねしてる。
「…仕方ない。まぁ、でもさっきの一発でチャラになる訳ないだろ?あと、ヒロの分と松田の分と伊達の分、それから俺の分で4発殴らせろ。」
「はい?そんなに食らったら、俺物理的に成仏しそうだから、かんべん。というか、そしたらさっきの一発はなんだよ、やけに重かったんだが」
「当たり前だろ、ゆりの分だ」
「なら、仕方あるまい」
「…まぁ、ハギが戻ってきたなら、安心だな。分かってるだろ、お前が居なくなった後のゆりのことは、お前が1番よく」
「あぁ、ありがとうな、降谷ちゃん。」
こくんとうなづいて、スッキリしたような表情のゼロ。
「サンドイッチいらなかったな」
「そんなことないよ、お昼に食べる!ゼロのサンドイッチ好きだもん。」
「あぁ、公安だからハムサンド!シャレが効いてるな。」
「そう言うわけではないんだが、ハギもよかったら食べてくれ。俺はもう戻る。」
「もう?」
「おいおい、俺がいるんだから、降谷ちゃんばっかり見てないでくれよ、ゆり」
「朝から邪魔したな、また来る。ハギにも会いたいしな。」
「きゃぁ、ゼロかっこいいっ、惚れちゃう」
「そんなことになったら、松田がキレそうだ。」
「確かに、じんぺーちゃんがジェラっちまうな。やめておこう。
気をつけて帰れよ、ゼロ。」
「あぁ」
嵐のように去ったゼロに、ハギが食べられないということを伝えそびれたと思ったのはベランダから、ゼロを見送った後。
「そういや、後でポアロだっけか?行ってみよーぜ、冷やかしに。」
「今の、松っぽいね。」
「はは、確かになぁ」
「そう言えば、松はハギがこっちに居たらやきもち妬かないの?」
「降谷ちゃんみたいなこと言うのな。松田なら、美和子チャンのところ。高木くんと美和子チャンのつかず離れずを月9を見るかの如く、足繁く通ってんのよ。」