第2章 2nd
程よく酔ってきたころ、
「そろそろ終わりにする?明日に響くし」
なんて研二が言うから、
「目が覚めたら、研二はもういないんでしょう?」
と呟けば、また悲しそうに笑った。
「けんじ、ぎゅってして?」
優しく伸びてきた腕にやっぱり悲しくなって、会えても悲しいなんてなんだか、苦しい。
「けんじ、あのね、」
「うん、」
「わたし、けんじがいないと、ダメみたい。お仕事も頑張って頑張って頑張ったのに、なんでこうなるんだろう…病院行ったらさ、仕事を続けるのは難しいって言われちゃったよ、ゼロのこと護れるのは、もう私しかいないのに」
ひどい弱音だ。
研二だって、好きでこうなったんじゃないのに。
「研二、幽霊でもいいからずっと一緒にいて?そしたら、私もっともっと頑張るから、貯金もさ、いっぱい貯まったんだよ、ほんとに。研二と2人で暮らせるくらい。」
私を抱き寄せてぽんぽんと背中を同じリズムで優しく叩くけど、やっぱり温もりなんて無くて、こんな状態でもそばにいてほしいなんて研二にとって酷なこと言ってるのかな。
「…なんてね、まぁ、ずっとって言うのは冗談なんだけど、」
「うん」
私のことを否定しないのも、研二は昔からずっとそう。
「そういえば、研二、松は?」
「陣平ちゃんも、いるよ。班長はナタリーさんと、諸伏ちゃんは、フルヤちゃんと一緒に。」
「そっか…。」
「ったく、ジェラっちまうぜ。あんまり他のオトコの話ばっかりさせると」
「同期だもん。研二は女の子にモテモテで無双だったじゃん。
今でもそっちで女の子にチヤホヤされてるんでしょ。老若男女問わず、研二は人たらしだから。」
「否定はしない」
「さいてー」
「でも、そんな俺が好きでしょ?ゆりは。」
「うん、好き。大好き。長い髪くくるときの手も、抱きしめてくれる腕も、匂いも、優しいとこも、目も鼻も口も。」
じーっと目を見つめて言えば、恥ずかしそうにはにかんで、ぎゅっと抱きしめてくれる。
だけど、明日目が覚めたら、もう私に姿を見せてくれないんでしょう?
「霊能力者にでもなろうかな、」
「それはやめて。俺みたいなやつだけじゃないんだから。」
「でも研二が守ってくれるもん」
「ま、そうだけど…今は文字どうりずっと一緒にいてやれるし。」