第6章 気になる彼の形と私の色
「っや、ちょっ…っふざけ…っ」
露わになった背中に濡れた舌が這う感触がする。
嘗めあげられて離れたと思ったら、次は肌に張りついた唾液を広げ。
かと思うと細い舌先が思いがけず脇をくすぐり通り過ぎていく。
「……っ!…っ…ンッ」
ツツ、ツツツ……ツツっ………
もどかしく運ばれる快感がゆるりゆるりと私の理性を剥がしていく。
「綾乃、止めるか。 返事は」
ただ自分の体を庇うように抱きしめ喘いでるだけの私が物足りないのか、タクマさんが肯定の言葉を欲しがってくる。
そんな彼は貪欲にも子供っぽくにも、意地が悪くも思えた。
彼の名を呼ぶと「なに?」と私の髪の隙間の耳元をくすぐる、低く奥底を震わすような甘い声。
そんなのもう抗えない。
這い回る舌がうなじにある髪を器用に掻き分けてうぶ毛の束を濡らしてく。
「止め…な……触っ…て…」
途切れ途切れに呟くと、彼がふ。 と、体を離した気配がした。
こんなに体が火照ってるのに。
今度は吐息さえ触れてくれない。
そのくせに「舐めてもいいんなら?」そんな風にのらりくらりと交換条件を増やしてく。
「っひど……っ」
とうとう泣きそうな鼻声で顔を伏せてしまった私の肩に、ふわりと優しく指先が触れる。
そのまま肩に手をかけて、上半身を仰向けにされた私の上にタクマさんの揺れる前髪が見えた。
「可愛がってんだけどな。 これでも目一杯」
そんな風に言って、くちゅり…と胸の先を口に含む。
緩やかな口付けのように。
合わさってきた粘膜が私の感触を味わうみたいに移動する。
背中を浮かせた私が吐息と共にそれを受け入れるとまもなく求め始める。
「……何でもいい。 今のオマエに触れるのには理由が無いと、困る」