第6章 気になる彼の形と私の色
「そう……分かったわ。 そうね、綾乃ももう18歳なんだものね。 拓真さん本当にありがとう」
「オレこそいきなり厄介なって」
「ふふっ……目の保養で充分お釣りが来るから構わないわ」
「お母さん……そんなこと言うと、お父さんが拗ねちゃうよ」
「そうなの。 そして、そんな裕之さんがまた愛おしくて素敵……」
それから車窓に視線を移した母はほう、とため息をついたまま、父の働く事務所の辺りを見詰め続けていた。
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その後薬局や買い物だと、なんだかんだと時間が経ち、午後のお茶を過ぎた時間。
少し歩きすぎたからと、家に帰るなり私はまたタクマさんにさっさと部屋のベッドに追い立てられた。
私の部屋の窓辺からは、夏の斜陽が床と壁に細いプリズムを作っていた。
彼は私から少し離れた壁に寄りかかり時々眩しそうに夕陽を目で追っている。
「……ごめんね、あんなお母さんで」
「イヤ別に。 キツい雰囲気の美人が中身可愛いって、結構レアだよな」
ん? サラリと女性を褒めるタクマさんなんて、珍しい。
私はおむつで人間的に好き、なのに?
……そういえば、タクマさんとお母さんって、七つ違い。
私とタクマさんは、15歳違い。
可能性としては前者の方がアリなんだろうか。
「タクマさんってホントは……と、歳上の女性の方が好きだったり……?」
かといって、今さらそうだと言われても困ってしまうんだけど。