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朝凪のくちづけ【R18】

第6章 気になる彼の形と私の色



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家から車で約15分。
父の事務所の産業医の人から診断書を作成してもらい、そのあと母とタクマさん、私の三人は土曜診療をしている総合病院へと向かった。



「診断書と問診の通り、免疫力が全体的に落ちているようです」



お医者さんの説明によるとなんでも、白血球や血液中に元々含まれている免疫抗体が、普通の三分の一以下しかないとか。


「栄養や睡眠不足を避けてくれぐれも安静に。 生理不順もあるようですけど、気を付けないとますます悪化して、不妊の原因にもなりますよ」



それから漢方薬を処方され一週間様子を見るのでまた来るように、と言われた。




「とりあえず少しは安心していいのかしらね?……でも、お昼のアルバイトは控えなさいね?」



そう帰りの車内で母に言われたけど、確かに長時間の立ち仕事は今は止めた方がいいかもしれない。

お店の人にも迷惑をかけてしまったし。



「……はい」


「家庭教師も、こうなったら大人同士の話になると思うから」


……そうなるような気がしていたのだけど、私としてはなんだか、ここで辞めるのは時期尚早な気がしていた。

それでそのことを、今朝がたタクマさんに相談をした。
私の話をじっと聞いていたタクマさんはそのあとに「分かった」とひと言だけ、私に言ったのだ。



「ああ、それ」



車のバックミラー越しに後部座席の母に向かってタクマさんが呼びかける。



「明日一度、綾乃とオレがその家に行ってみます」


「え、まあ……? でもそれは」


「それで駄目だったら大学の派遣先と、双方の親の間の解決ってことで。 今朝綾乃の話聞いてたら、今のバイト自体は嫌じゃなさそうなんで。 体力的にも短時間の家庭教師なら、無理はないと思いますし」


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