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朝凪のくちづけ【R18】

第6章 気になる彼の形と私の色



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翌日の朝は、最近のうちではスッキリと目覚めた方だった。

私を起こしに来た母が、タクマさんには階下の客室を使ってもらってると言う。



「朝早くから、近所に散歩に行ってくるって出てるみたい。 きちんとお布団も綺麗に畳んで。 まだ若いのに、市役所の役付だとか。 しっかりしてるのねえ」



むむ。 私が起こしてあげたかったのに。

だけど床に足を着けると、意外に体が重く感じた。



「昨晩もだけど、まだ微熱があるようね。 土曜もやってる病院って、限られるのよねえ」



私のおでこに手を当て困り顔の母の後ろから、タクマさんが戸口にひょいと顔を出してきた。



「オレ運転して病院連れて行きます。 よければ」



タクマさんは軽く日用品などの買い出しに出掛けていたようだ。
近所の大型スーパーの袋を抱えている。

何の用意もなしにうちに滞在することになったのだから、色々入り用になったのかもしれない。



「まあ……私が運転出来ないから、有難いわ本当に。 それなら早速朝食を……あっ、お鍋が!!」


「味噌汁の鍋なら火、消しときましたけど」


「まあまあ……何から何まで」



母もすっかりタクマさんに感じ入った様子で、じゃあ、あとでね! と機嫌よく階段を降りていった。



「タクマさん昨晩から色々ありがとう。 おはよう、早起きしたの? 枕が変わって眠れなかったりしなかった?」


「まあ……別に」



いつもにも増してぶっきらぼうな彼だが、機嫌が悪いというわけでは無いらしい。



「……でも熱って、フラつくんじゃね? 一緒に階下行くんなら肩貸すか?」


「あ……あり」



それどころか今朝も彼は優しい。



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