第6章 気になる彼の形と私の色
「………少しだけ、なら。 まあ……病人相手だしな」
タクマさんが諦めたように息をついた気配がし、組んでいた手を下におろす。
少しだけ。 それならば、迅速かつ的確に、作業をこなさなければならない。
後ろ手に回した手で、彼に触れる。
「えっと……」
ごそごそ。
手探りなので、位置がよく分からない。
「くくっ、止めろ。 それ腹」
「お腹。 お腹硬いね? 運動してるの?」
うちの父もお腹は出てないんだけど、それは長年定期的にジムに通ってるからだ。
タクマさんの住んでるとこにジムなんて、見たことないし。
「毎晩15分筋トレしてプロテイン飲んで寝る。 それで体の調子保てんなら、安い方だろ」
「15分だけ? それだけ?」
「週単位で、部位に分けて…っても、分かんねえか」
それであんな筋肉がつくんだ。
今度私もダイエットに教えてもらおう。
タクマさんは今日は珍しく襟付きのシャツを着ている。
その中に潜り込ませた自分の指先がちょんと堅い胸に触れて、前に別荘のソファで寝てた彼を思い出してドキドキした。
「……すごいね。 私タクマさんの体、好き」
「それ、言い方……だから、くすぐったいって」
笑ってるのか、彼の声が震えてる。
楽しいなあ。
もっと色々触ってみたいけど、今は私の知らないタクマさんに触れたい。
お腹の辺り、の少し下?
私の体は彼の足の間にあるので、角度的に触りやすい。
「あれ、これ柔らか……あ。 すごく、硬い……」
「……まあ、フツーに」
色々ある。のは分かった。
その中でもピンとして、ゴツゴツしたものが窮屈そうに、彼のズボンの布地を持ち上げている。