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朝凪のくちづけ【R18】

第6章 気になる彼の形と私の色



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「まあ、昔っからバ…一生懸命なとこは長所なんだろうな」

「この子ったら、夢中なものに関してはバ…耳に入らないほどなのよね」

「おそらく私譲りに専門バ…研究熱心な性質なんだろうね。 欲は才を走らせる火のようなものだとも言うが、な」



「司馬遼太郎と才が聞いたら、ケツに火付けられますよ」


「ふふ、相変わらず読書家だね。 拓真くんは」



気のせいか、失礼なことを言われている気がする。


あ、でも。



「タクマさんっ!??」



たしかにそう聴こえた。

がばっと身を起こそうとしたら同時におでこに指先が当たり、ぽすん、とまた後ろに体を倒された。



「やっと目覚めたか。 少しだけ、顔色良くなったか。 でもまだ起きんな」



八畳の私の部屋に、タクマさんと父と母がいた。

……状況が呑み込めない。

私のベッドの脇にいたタクマさんが離れて、部屋の隅にある、机にしつらえてある椅子に腰をかける。



「まあ、オレの説教はあとにして、だ」



その代わりに、私の枕元に進み出たのは母と父。



「ちょうど綾乃が倒れた先が、お父さんの事務所のすぐ近くだったから良かったのよ。 バイト先から連絡をもらって、すぐに迎えにいってもらったの」


「時間が時間だったしうちの産業医に診せたが、ストレスと過労だそうだ。 点滴は打ってもらったが、最近、睡眠や食事はまともに取れてたのか? アルバイトばかりで、休みもろくになかったそうじゃないか」



心から心配してる様子の両親から、なにがあったのかは把握した。



「……それから、家庭教師の話も母さんから聞いたよ。 拓真くんに少し話したが。そんなに一気に、色々とこなせるわけがないだろう?」



「そんなことないよ……」



そう言った声が少しだけ震えた。



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