第6章 気になる彼の形と私の色
彼女がびっくりしたような表情だったので、どうしたの? と訊くと「いやそれこっちのセリ…」そこまで言って、その子がぷっ、と吹きだした。
「おっ…もしろっ。 森本さんってキャラ、そういう感じ!?」
ぽたぽたと髪先から落ちる雫をふるふる振りながら、目の前で笑う女の子を不思議な気持ちで眺めた。
クスクスお腹を抱えてる彼女に他人行儀な様子はなく、どうやら私に対する妙な先入観は解けたらしい。と理解した。
つられて私もにこっと笑い、今さらながらお互いに自己紹介などをして一緒にお店の接客についた。
「今日も暑いよねー。 店の中は寒いけどさ」
「そうだね。 ……冷房が効きすぎてるのかなあ?」
夕方に差し掛かり温度差のせいなのか。
先ほどからなんでだか震えと脂汗が止まらなかった。
そんな私をチラとみて、今度は彼女がギョッとした表情をしている。
「え? なんか森本さん、顔色が青、っていうか真っ白」
表情豊かなひとだなあ、なんて思う間もなく、直後。
自分の足元が揺れた感じのひどいめまいがした。
咄嗟にしゃがもうか、そう思った瞬間に、視界がグルリと反転した。
「………きゃああぁっ!?? 森本さんっ!」
そんな叫び声と、店長おおおー!!などと呼ぶけたたましい複数の声が耳を通り抜けて……段々と小さく消えてった。