第4章 半径一メートルの密度
くにっ。 と、指の腹でごく軽く押し上げられてそれだけで、呆気なく腰から下が崩れそうになる。
「あっ……ゃあァあっ」
その間中、たった一本の指で揉まれ続けるささやかな芯。
限界を迎えた最後は体を縮こませて、結局タクマさんの手を股に挟むように締め付けて……達した。
「……早い。 随分とエロい体なったのは分かった」
抜いて濡れた自分の手に見入りながら彼が自分の人差し指を口に含む。
それを止める気力もなくて、ただ、その後で唇を舐めてる彼の横顔にぞくりとした。
「っ。 だ、だって。 タク……マさん、が」
「全部触ってねえ。 本気で嫌がられたら止めてたし」
「……全部…触ったよ?」
とりあえず。
「だったら本番ん時どこでやんだよ」
「あ、お口…とか」
あと触られてないといえば。 そう思い付くとタクマさんが「間違いでもねぇけど……最近の少女漫画ってそんな感じなのか」と微妙な反応を示した。
「こっち向け、綾乃」
俯いてた私の顎をひょいとつまみ結構ボロボロの顔になってるであろう私を見て、タクマさんが微笑む。
「確かに……綾乃だな。 今度はやたら色っぽくて困る。 感謝しねぇと」
顔が熱い。
外が暗くなりかけてるのだけは助かった。
「な、にそれ?」
「心境の変化。 オマエのこと、うんと気持ちよくさせたくなったとか?」
「えっ」
なんでその結論?
正直もう、自分の変化に脳が追い付かない。
私、おかしくなかったかな?
想像してたよりもお腹いっぱい過ぎてもたない。
「まずは第一歩として、美味いメシでも食わせるか……荷物運んどく。 鍵寄越せ」
「あわ、私も」
急いでそれに続こうとしたけど、足に力が入らなかった。
そんな私から鍵を奪い取り彼がまたさっさと車を降りる。
「いい。 少し休んでろ。 で復活したら下着でも変えてこい」
そしてまたそんな恥ずかしいことを言う。
「……タクマさん!」
心境の変化。 車窓から顔を出した私を振り向いた彼に、気になってたことを訊いてみる。
「……あの、もう近付いてもいい?」
「ふっ……いちいち、オレの言うことなんか、全部聞いてんじゃねぇよ」
そんな身勝手な一言を残して家の中に消えて行った。