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朝凪のくちづけ【R18】

第3章 ハチミツ味のSavage CAFE




「オマエみたいな味だな」



い、息苦しい。
近過ぎて。
さっきのトーストが口に付いてたんだろうか。 そんなことを思うと今度は恥ずかしくて居たたまれなくなった。

それでタクマさんから顔を逸らそうと思ったのだけど、指でつまんだ顎を上に向けられて、また唇を重ねてきた。



「んっ?…っ……!…っ」



男の人の、タクマさんのしっかりした造りの口から濡れた舌が伸び、私の唇を撫でてる。

何も考えられなくなって、私の体から力が抜ける。
粘膜の外側も内側にも触れられて。

飲み込むのも忘れてた、お互いの唾液が絡み合う音が頭に響いてきた。



「ん……ふ…っ…ン」



私も、触りたい。

タクマさんの真似をして、同じように舌を動かすとそれを包むように奥の方へ引き寄せる。 
そしてまた押し戻しされて深く、口付ける。

痺れるようで溶けそうな、まるで脳を支配されている感覚。



「ふっ……綾乃の、女のカオ初めて見た。 気ぃ済んだか」



どれだけ時が経ったのか。

車窓の外からの蝉の声がまた耳に入ってきて、薄っすらと目を開けると、タクマさんが私から体を離して見詰めていた。



「……さっきは、『また来年も』なんてオマエが言ったから。 昨日言ったとおり、オレは夏以外でも会うつもり。 来週でもその次でも。 聞いてんのか?」


「………ハイ」



私の方は、消え入りそうな返事をするだけで精いっぱい。
キスってあんなに気持ちいいものなんだと、私は初めて知った。

一方で、どこか浮かない表情を浮かべたタクマさんがハンドルに肘をかけ、明後日の方向に呟いた。


「とはいえ、癪なんだよな。 なんとなく」



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