第10章 終章 わたしの心の青海原
「……乃、生きてるか」
なでなでと、頬をさすってくれる感覚。
これはタクマさんだ。
目を薄くあけると、明るい豪奢な室内で頬杖をついて私を眺めてるタクマさんが見えた。
目元に少しだけ緩い隙のあるこの彼は穏やかなバージョンらしい。
そんな彼に一気に脱力し弱々しく腕を回して、横向きにしがみついて、甘えた。
「……も、だめ…え」
「きつかったか。 でも、少しは慣れただろ?」
私の頭を撫でながらそう言う彼に力無く首を横に振る。
これがいわゆるセックスというもので。
でも、昨晩とは全く違う種類だ。
未だにジンジンと余韻の残る体内に息を漏らした。
「フーン? ……まあ、こっちも足んねえし。 じゃ、次はちゃんと気持ちいいとこしてやんねぇと。 大体分かったから」
そんな見当違いなことを言いながら、また私に覆いかぶさってくるタクマさんのこれはまさかの二回目ということ?
「してる時の綾乃をもっと見たい」
せめてもう少し休んでからにしていただきたい。
仰向けにした私を見下ろし、焦ってつい彼の体を押そうとしたら頭の上でそれを束ねられた。
それと同時に再び彼の上半身がゆっくりと倒れてくる。
「まっ、待って待って……っ」
「無理だな」
「……っ…っ……っ!」