第10章 終章 わたしの心の青海原
擦り付けるようにグイグイ圧して。
限界まで、もっと深くまでと彼が求める。
心なしか荒くなった彼の息遣いが耳に届く。
それと同調して、反らした喉から私の喘ぎがひっきりなしに漏れ出た。
昨晩よりもあけすけで差し迫った自分の声に、狼狽えた。
「ん…はぁッ……むり…もっや、…んっダメっ」
深いまま、拡げてはねっとり弧を描き始めるそれに一ミリの余裕もない。
お尻を愛液が伝っていくのが分かった。
もう頭がおかしくなりそうだった。
少し空いている体の隙間に潜り込んだ彼の手のひら。
それが私の胸を包む。
指の間に挟んだ胸の先を捏ねている。
そのうち両方に寄せられた二つの乳首を、舌で舐めあげられた。
交互に吸ってはまた舐めしゃぶる。
胸に食い込む指で擦り付ける。
「ぁあっい、今っ…それ、したらっ…」
その間も膣壁を摩擦する動きは止んでなく、混乱した。
どこをどうされているのか分からなくなった。
「昨晩は、好きにしていいっつったよな……?」
「ん、ン…あっ…で、も…こん…なっや」
予測のつかない動きのせいで翻弄される。
唇や首すじ、胸や腕や脚。
お互いの全てがきつく絡んで、しごかれて、息をつくタイミングもままならなくって。
浅いところに押し付ける。
少し進んでは小刻みに壁を震わせる。
赴くままに内部を暴れる、熱の塊。
「あァっ…んっっ、も…待っ…あ、ンあっ」
その硬い昂りがぬめりを巻き込んで掻き出して。
摩擦によって滲み続ける体液も熱く熱く燃え上がる。
「ハァ…っ良過ぎ……止まんね」
彼の息の合間に愉悦が吐き出される。
そんな情動に伴い、前後に上下に揺すられる私の体。
私の一部のはずのそこが掻き回されてドロドロに溶けてるみたいで、自分のもののような気がしなかった。
前に進んだ彼が私の体を折るように重ねた。
挿入のたびに畳まれた膝が頼りなげに揺れては開く。
体に力が入らない。