第10章 終章 わたしの心の青海原
じわりじわりと、その代わり少しも躊躇わずに進んでくる。
私のそこはもう何度か達したせいなのか、なんの抵抗もなくたっぷりの粘液で包まれた塊を受け入れようとしていた。
導入のそれは優しくて丁寧な私の好きな口づけのやり方に似ていた。
大きな熱が昨晩は触れられなかった深くまで、膣壁をぐぐぐと押し開いていく。
「っはあぁ……」
「大事にしたいし、見てたいし、見たくねえ。 一緒にいたいし、突き放したくもなる。 触りたいし、泣かせたいし、どうしようもなく欲しい。 ……こんな感情はオマエならなんて言う?」
話していることは分かるけど、その意味を咀嚼できる余裕が私に無い。
私の両側に手をついている彼の腕にきつくつかまりながら自分の内部に入ってくる異物の存在に圧倒されていた。
ただ、まもなくその侵入が止まったので全て受け入れたのだと思って深く息を吐いた。
「あ。 わ、わた…し」
タクマさんが上半身を傾けて私の頭の両側で肘をつく。
「んなガチガチに…なんなくて、いいから」
そこで耳元を撫でてくる甘い声は彼ごと私の中をすぼませる。
強い圧迫感に慣れようと呼吸を整えながら、その命令に赴くままに張り詰めてピンと伸ばされた脚先から、ぎこちなく力を抜いた。
そんな私を褒めてくれるように一度だけゆるりと往復した。
「ん……やっぱ気持ちいな。 綾乃んナカ」
「はぁっ…た、クマさ…好…きっ」
じっとしているとドクドク脈打つような感触が内側に伝わってきた。
そこがジンと痺れてどんどん溢れてる気がする。
でも塞がれているせいできっと行き場がない。
感極まって吐息を漏らす私にタクマさんが軽く唇を合わせてきた。
「確かにな。 でも」
そのうち言葉じゃ足りなくなる。
欲しがりな私たちはその両方を続けようとする。
「好きの反対が無関心……なら、数え切れない感情持ってる、オレはどうしようもなく好きなんだろ。 それでもボンヤリした好きなんかで終わらされたら、困る」
そう言い終わり、残っていたらしい昂りの全部が私の奥底を押す。
押し込まれてぐちゅんっと滲み出た愛液と一緒に、私がいっぱいに満たされたのを感じた。
「っ……っ…っ!…は」