第9章 One hundredth time「少し」
「やっぱちょっと血付いてた。 ホントに平気か?」
「うん。 気持ち良い方が……すごくて。 あ、でもまだお腹になんかいるみたいな気も?」
「そっか。 素直でエロい体に育って良かったな」
「う、うん? でも、タクマさんは……」
「処女相手に我忘れてズコバコやれるほど神経太かねぇし……途中でも、無事にくっ付けたんなら今晩はいい。 大丈夫そうなら、明日ちゃんとやりてえけど、出来れば」
「明日」
「大丈夫そうなら」
「じゃあ、明日は、タクマさんの好きにしてね?」
頭の下にあった腕からよじ登って、彼の胸に頬を擦り付けてると、自分の腿のあたりに硬く押される熱を感じた。
「……あれ? またなんか」
「うるせぇな、さっさと寝るぞ……」
窓の外。
遠くからはコロコロと鳴く虫の音が聴こえる。
安寧と、しめやかに降りていく夜のとばりの中で。
初めてをタクマさんと過ごした。
「……私ね、すごく幸せだよ」
緩く回された腕が髪を撫でてきて、うっとりとそれに委ね、タクマさんの温かさに涙ぐみそうになりながら目を伏せる。