第9章 One hundredth time「少し」
まともな視界や正常な感覚が体に戻る頃。
私を気遣うような彼の瞳が目の前にあった。
「いちお、あんまり、痛くないようにしたつもり……だけど。 自爆だな、コレ」
「た……タ、クマ……さ…」
「グイグイ扱かれて、勝手に持ってかれる……辛くないな?」
こく、ん。 とぎこちなく頷くと、いつの間にまた泣いていたのか。
濡れたこめかみや頬に口付けをしてくれた。
その時始めてタクマさんの額に薄らと汗が浮かんでいるのに気付いた。
とても優しくしてくれたんだと思う。
入っている彼で感じる違和感は凄いけど、それでも彼と繋がれたという多幸感の方が勝った。
「タク…さ……も、気持ち良くなっ…て」
「……いや、充分。 つか漏れるし、一旦抜く」
ふと、今までいっぱいいっぱいだったせいで、自分にばかりかまけてたことに気付いた。
体を離したタクマさんに目だけを向けると腰の隙間から見えた彼のは、なんだかまだ上を向いてるみたいな感じだった。
というか、やっぱり男の人のアレってすごい。
見慣れないものにドキドキしながら目を泳がせてると、彼が抜き取った避妊具らしきものをティッシュに包んでゴミ箱に放る。
「あ、あの」
「ん?」と、目で聞きながら私の横に寝転んで薄い肌掛けでくるんでくれる。
眠るにはまだ早い時間かも知れないけどやっぱり緊張していたのか。
やっと私の体の力が抜けた気がして、ほうっと息を吐いた。
「……いけた、の? タクマさんも」
「少し」
少しって、なんだろう。