第8章 丁度良い焼き加減だったらどんな味?
ため息交じりに両者の間に入り視線を阻もうとするタケさんから、ぐいっとイズミさんが体を傾け「誰よ? アンタ」そう言いながら紗栄子さんとやらに攻撃的な目線を向ける。
「昔からのトモダチ。 拓真は、一度ダメって言ったらダメ。イズミって子にも言っとくけどね。タケの長年の彼女は、アタシの親友でもある。 庇うフリして近付こうとか、庇ってもらうフリしてストーカー続けるとか、そんな姑息なタイプは二人には無理だからね」
……ちょっとした印象で、物凄い決め付ける人が居た。
でも、ぐっと言葉に詰まっている女性二人の反応を見るに紗栄子さんの指摘は的確だったらしい。
イズミさんは、実はタケさんが好きなのか。
そしてこの紗栄子さんという女性の友人がタケさんの彼女。
ややこしい。
「聞こえなかった? 婉曲的に、メーワクだって言ってるの」
またか。 とでも言うようにはあ、とため息をついて首を振っているタケさんの様子から、どうやら紗栄子さんはいつもこういうキャラの女性らしいとみた。