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朝凪のくちづけ【R18】

第8章 丁度良い焼き加減だったらどんな味?




「少し体調崩してたんだよね? 見かけによらず拓真って心配性だから、ウザかったんだよねえ」


「拓真さん、普段からよくお店に行くんですか?」


「こんなトコだから、テキトーに飲める店も少なくってね。 あ、最近は秋から出す店のメニューとかの話しててさ。 奴、昔からオレより料理ウマいから。 知ってる?」



はい、少し複雑ですけど。 何ともいえない表情でそう言うと、「だよねーでも、アレいい嫁になるよ、オススメ」なんてまた明るい返事をしてくる。



……あ、潮の香り。

そう思うと共に、窓からは夏と秋の間の、夕方の海の景色が飛び込んできた。

この時期にここに来たのは何年ぶりだろう。 と改めて思った。

光の帯を境に水平線を遠くのぞんで、空と同じに褪せた海の色が広がる。


じっと窓の外を眺めていると、タケさんが独り言みたいに話してくる。



「ここって周りにもいくつか大きい浜あるでしょ。 だから観光にも半端でさ。 でも、入り江の静けさとか、もうなんにもなさすぎて、逆にそれが好きなんだよね」



いつもタクマさんが歩いている浜辺だ。

私も、そう思います。 車窓から目を離さず私も頷いた。



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