第7章 #7 別れのカウントダウン
ガチャリと空いた扉
包帯で目元を覆った五条さんが帰ってくる
8年も前の記憶が昨日のように鮮明に思い出せる
そのくらい時の流れを早く感じた
もう中学2年生になった花霞
8年の時はあっという間で、すくすくと育っていく心と身体
「ただいまー花霞!」
そう言って五条さんはソファに座る花霞を後ろから抱き締めた
すりすりと甘えるように頬を肩に寄せて来る様は、動物のようで愛着が湧く
しゅるりと手際よく包帯を外せば、床に投げ捨て花霞の隣へ腰を下ろした
「今日は楽しかった?」
隣に座る五条さんの目を見ればニコニコと笑みを浮かべていた
釣られたように微笑んで頷けば
「そっかー!よかった」
と満面の笑みで返される
いつもこんな毎日
七海さんは仕事が立て込んでいて朝は早く、夜も遅かった
ある日突然呪術師を辞めた七海さん
その真相は分からないけど、呪術師なんていい仕事じゃないことをこの8年で学んでいる
闇で闇を祓う
人知れず傷つき、苦しむ
そんな暗い職業は、私の想像も出来ないほど重いのだろう
それをこうして元気に帰ってくる五条さんは持つべきものを持っているのだと、感じさせられる
たとえ体が元気でなくとも、私の前では笑ってくれる
あの時のような顔をもう見たことがない。