第7章 #7 別れのカウントダウン
「そうだ、花霞、高専に見学でも来ない?」
見学?私が?
そんなことができるのか?と首を傾げていれば五条さんが言葉を続ける
「手合わせでもしてもらって自分の実力を試せばいいじゃん!」
いいこと思いついた!とでも言いたげに、ぽんっと手のひらに拳を乗っける
少し戸惑いはあったものの、確かにいい機会ではある、と思い頷いた
「まぁ今はまだ早いだろうし、来年にでも行こっか」
そう言って花霞の頭に優しく手のひらを置いた五条
それを嬉しそうに微笑む花霞を見ると軽く撫でる
ふんわりとした、暖かい雰囲気に纏われたこの空間をなんと表すのかはまだ誰も知らなかった
バッと目が覚める。
はっ、はっ、と荒い呼吸を繰り返す
8年間定期的に見るこの夢
正夢というのだろうか、この夢で見たことは必ず起きる
けれど、時が経つにつれ見た内容は消えていく
夢は今日だったり、明日だったり、1年後だったり。
予知夢、というのか
自分が喋っている時もあれば、客観視していたり、誰かの視点を見ていたり様々だった
ただ、書き表したり、誰かに話そうとすると、急に内容が出てこなくなる
どうしても思い出せなくなるのだ
このなんともやるせない感覚にいつも花霞は頭を抱えていた。
大切な何かを失っている感じがしたから