第7章 #7 別れのカウントダウン
熱いシャワーを浴びて、目は覚めたが外との寒暖差に震えた花霞
脳裏にこびり付くあの悪夢をどうにか忘れられないかと思うのに、永遠とはっきりと、鮮明に覚えている
夢なのに、本当にその場にいたような、不思議な感覚を覚えた
頬に暖かな雫を感じて指で掬えば、それが涙だと気づく
何で泣いているのか、何が悲しいのか分からない
けれど止まらない涙を怯えながらも拭う
「花霞さん?」
お風呂を出て1階への階段で立ち尽くす花霞
そこに起床した七海が、不思議に思い声をかけてきた
思考が悪夢にいっており突然の声に驚き、不意に窓を見た
いつの間にか家は起きた時より明るく、朝日に照らされている
結構な時間が経っていたのだろうか
「朝ごはん、作りますね」
花霞の毛先から垂れる雫を見ても、七海は何も言わなかった
ただ、いつも通りを演じているようだった
花霞は背中に張り付いている髪をタオルで包んで纏める
そしてリビングへ向かった
もう悪夢は思い出せなかった