第6章 #6 移り変わる心境
トタトタと玄関へ向かい笑顔で向かい入れるはずだった花霞はそれを見て笑顔は崩れ去っていった
「………」
いつもなら、「ただいまー!花霞〜!!」だとか、「疲れたー!」と何かしら一言言って花霞に抱きついて来るはずの五条が何も言わない
それに加え五条の顔は明らかに暗い
誰が見ても何かあったな、という顔をしている
大抵のことではミスなどしない五条はそんな顔をすることは1回もない
だから、初めて見る五条の暗い顔に、花霞は酷く動揺した
廊下のど真ん中で突っ立って硬直してしまった花霞に表情変えず五条は頭に軽くポン、と手を置くと隣を通って行った
いつもならギュッと抱きしめられるのに、と花霞は寂しさを抱いていた
「…おかえりなさい」
「あぁ、」
返事にも力が篭っておらず心ここに在らずという感じ
五条の暗さが伝染したかのようにしんと静まり返った部屋
五条はソファに座り、足は机に置き、頭はだらんと後ろに下がった
顔には目を覆うように腕が置かれ、「はぁ、」という短いため息をつく
その後、寝たかどうかは分からない
ただ静寂が続いた
花霞は寂しそうに、それを見つめた