第6章 #6 移り変わる心境
数日後、家入から「七海が帰ってきた」
そう連絡が入る花霞はいてもたってもいられず部屋を駆け出した
ここ数日は、2人が怪我していないか、などと子供らしからぬことを考えていて気が気ではなかった花霞
「うわっ、花霞さん?」急に扉から猛ダッシュで出てくる花霞とちょうど扉の前にいた七海にぶつかる
「どうしました?」
鼻をぶつけたのか涙目で鼻を抑える花霞に七海は目線を合わせて話しかける
特に怪我もなくて、安心した花霞は七海の頭をぎゅっと抱きしめる
そうすれば七海は困惑しながら優しく頭をポンポンと撫でるのだった
「五条さんもきっと来ますから帰りましょう。家入さん、ありがとうございました」
「あいよ、じゃーね、花霞ちゃん」
上機嫌な花霞は腕が取れるんじゃないかと思うほど勢いよく腕を振る
そんな花霞に家入はタバコをふかしながら手を振った
久しぶりの〝我が家〟にルンルンとスキップしながら駆け回る花霞
「気をつけてください」と控えめに七海は声をかけるがそんな声はまったく聞こえてないようで変わらず駆け回る花霞が目に映る
久しぶりに楽しそうに子供らしく駆け回る花霞を見て七海は注意することをやめた
そこにガチャンという音が響く花霞も気づいたようで、ピタッと動きを止めて玄関へ向かった
満面の笑みで、それはもう見るからに楽しそうに。