第6章 #6 移り変わる心境
ピンク色の女の子らしく可愛いランドセルからシャランと音の鳴る鍵を取り出す
ガチャンと差し込みまわせば開く扉
「ただいま」の代わりに小さなお辞儀をする
ちょっとした彼女の習慣であった
「おかえりなさい」
何も無くガチャンと扉が開こうと、優しく七海は声をかける
「すみませんが、今日もお留守番お願いしますね」
花霞はこくりと頷き「行ってらっしゃい」というように手を振った
安心したように微笑み手を振る七海
ガチャンと閉まる扉を花霞は静かに見守った
二階にある自室にランドセルを置き、ベッドに腰掛ける
こうやってお留守番するのもいつものこと
親代わりといっても七海はまだ高校生自分の仕事というものがあるのだ
いつまでも家にいて花霞を見守っている訳にもいかない
それを花霞も理解していて、最初こそは寂しい顔をして行かないでと引っ張っていたが、いつの間にか快く送り出すようになった
成長した、というよりかは1種の諦めでもあった
子供ながらに花霞は諦めた方がいいのだと判断したのだ
五条も同じく高専にいる為、来ることは無い
休日であっても任務、というものに追われる呪術師には休みの日など関係ない
花霞には友達が無いため、遊ぶことも出来ずただこうして外を眺めることしか出来ないのだ