第5章 #5 受け継がれるもの
「花霞、ごめんね」
「?何が?」
「お母さんもう行かなくちゃ」
「でも大丈夫─────だから」
「─────も?」
「またね」
はっ、はっ………
なんの夢?お母さん?
あれ、お母さんどこ?どこ行ったの?
暗くてわかんないよ
どうして、どうして?
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500年、いやもっと前かもしれない
その頃は不老不死というのは神からの授け物であり
光栄なものであった
しかし、時代が進むにつれ迷信であり人間の妄想であると言われ、いつしか忘れられた
けれど不老不死という力は存在していた
『人魚の鱗』
人魚は不思議な力を持っている
そう言われていた
人魚は美しい美貌を持っている、そして死なない
つまり不老不死である
そのため、人魚の鱗を食べる事が出来れば不老不死になれる、という噂が出回った
それを1番求めたのは500年前のその時代、最弱の呪術師と言われた綾芽家であった
綾芽家はその力を1番信じ、求め、見つけたのだ
綾芽 雅敏(まさとし)により。
そこから悲劇は始まった
人魚を殺し、鱗を食べた雅敏は人魚達の恨みをかった
不老不死を貰えるはずの鱗は不死の呪いしか貰えない。
なおかつ食べた鱗は体内に残り、子が生まれたとき継承される
しかし継承されるのは自身の鱗の5分の1であり
全てを継承するのは子が3歳になった際に子を呪い、自滅することで継承される
という、なんとも惨いものであった