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【D.Gray-man】人喰いの神

第2章 柔な舌に釘を打つ


通常の靴なら小一時間雪道を歩くだけで足が冷えるが、戦闘用に作られたブーツは体温を下げにくい仕様になっている。

おかげで冷え性なジェイドバインはあれほど毎年悩まされていた霜焼けの感覚さえ忘れかけていた。

しかしいくら断熱素材の服でも、顔だけはどうしようもない。正面から凍てつく風が吹きつけようと、顔を覆って歩くわけにはいかないのだ。

フードで出来るだけ隠し、愛用のマフラーを何重に巻いたにも関わらず、問題の協会に着いた頃にはジェイドバインの頬と鼻は真っ赤に腫れていた。

建物の周辺部には照明が運び込まれ、雪道やその先の開閉門を照らしている。おかげで迷うことはなかったが、それは敵にも当てはまり、協会は格好の的となっている。しかし、これはやはり、AKUMAを返り討ちする計画の一つであるに違いないのだ。

協会の開閉門は首が痛くなるほど見上げ、ようやくてっぺんが見えるくらいの高さがある。

その門の脇に、それでも比較され小さく見えるのに、さらに体を縮こませているファインダー数名を見つけ、ジェイドバインは歩を早めた。

「隊長と話がしたい」

まだ話せる距離ではないが、彼女の声は不思議と遠くまで響く。

「エクソシスト様、私です」

よく見ると、縮こまっているファインダーにまぎれ、表面積が大きそうな肉体を堂々と外気に晒している男がいるではないか。ジェイドバインはさらに顔をマフラーに埋めて、"よくやるものだ"と心の中で呟いた。
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