• テキストサイズ

【D.Gray-man】人喰いの神

第2章 柔な舌に釘を打つ


林に囲まれた一本道に通行止めの柵が並んでいる。警備中のファインダーの一人が暗闇に目を凝らす。

粉雪が舞う中、徐々に黒い人影が浮かび上がって来た。

足元まで届く黒コートに身をくるみ、積もりたての雪にブーツを深く沈めながら近付いて来るジェイドバイン。

通行止め用の点滅ランプが、暗闇から現れた彼女の姿を照らし出す。

「ご苦労さん」

フードを少し上にずらし、短く言った。

「ご到着をお待ちしておりました、エクソシスト様」

ファインダーが敬礼する。

「現時点で此処を通った者はいません。他の規制地点も異常無しとのことです」

封鎖された一本道、それを挟む針葉樹林は他の規制地点まで続いているのだろう。

「林の中は誰も監視していないのか?」

「一定間隔に見張りを置いています。また、調査の結果、林に入るためには崖を登らなければならないので、この雪と暗闇の中、普通の人間には不可能だということが分かりました」

では、この警備の網を突破出来るのは、ほぼ間違いなくAKUMAのみとなった。此処まで何の襲撃も合わなかったから、案外この近辺に潜んでいるのかもしれない。そうだとしたら、そろそろエクソシストの臭いを嗅ぎつけて、体中が疼いている頃だろう。

「もし不審な影を見かけたらすぐ知らせろ」

「了解です!」

フードを深く被り直し、トマを連れて柵を乗り越えて行った。
/ 12ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp