第2章 柔な舌に釘を打つ
開閉門に視線をやる。見上げると、門の最上部に人の顔が彫られており、通っていく者を見下ろすように作られている。資料で確認していたが、実際見てみると気味悪さは倍増。さらには落ち着かない気分になる。
ゴーレムではない、音以外にも、視覚的に誰かに監視されているような…そんな気がしてならない。有り得ないと思うが、例えば、あの人顔に…とか。
一刻も早く開閉門の前を通り過ぎ、人一人が通れる普通の扉の前にたどり着いた。
これは資料に記載されていたことだが、特別な日にしか門は開かず、出入りはこの扉を使うのが一般的らしい。
錆びた取っ手を手前に引き、背中に背負った物が当たらないように注意しながら狭い戸をくぐった。
教会の内部を見た瞬間、教団とよく似ていると思った。