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【D.Gray-man】人喰いの神

第1章 翡翠の刃で刺し殺す


瞼を重そうに半開きし、瞬きを二、三回繰り返す。

窓に映る風景はいつの間にか一面の雪景色になっていた。民家は殆ど見当たらない。目的地に近付いてきた証拠だ。

ジェイドバインは一通り目を通した資料を膝に乗せ、頬杖をつきながらページを捲る。

"ホローライト教会、移民によって開宗された未公認の新派で創立時期は不明。五千人以上の信者が付くまでに成長したが、幾多の魔女狩りで数十年間廃墟と化していた。現在は地元民の熱心な署名活動によって運営が再開され、徐々に信者を増やしている。"

添付写真を見ると、外装は剥がれ落ち、剥き出しの石壁は蔦や苔に覆われているが、かつて五千人以上の信者を抱えていたというだけあって立派な教会だ。開閉門上部に彫られた人顔がシンプルな造りに不釣り合いで気味悪いのだけは除いて。

大きな欠伸をした後、さらにページを捲る。

"千二十三人の信者の五割が高齢者で、残りの九割は未婚の三、四十代が占める。活動内容としては祝日のミサの他、新月の夜に行われる奉闇の祭が有名。"

ブレーキ時の摩擦音が車内に響き、慣性力が体を座席に押し付ける。

「ジェイドバイン殿、到着しました」

金に輝くドアノブが回転し個室の扉が開くと、案内役のファインダーであるトマが頭を下げた姿勢で現れた。
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