第2章 柔な舌に釘を打つ
男が体を強ばらせながらゴーレムに話し掛けている最中、その様子を見かねたファインダーがジェイドバインに耳打ちする。
「エクソシスト様、我々はこの持ち場を離れる訳にはいきません。中に他の班が居るので、彼らが修道長の所へ案内してくれるはずです」
「分かった。では何かあればすぐ連絡を寄越せ。全く気付かれず境界を突破出来るとは思えないが…、私が来たからにはAKUMAは此処を目指して来るはずだから」
「はい、承知しています」
彼はまだファインダーに成り立てなのだろうか。若々しく、頼りなさげではあるが、聡明な雰囲気が見て取れる。
しかしすぐに、彼が何かを渋っていることに気付く。
「何だ?言いたいことがあるならはっきり言え」
「は…はい。私程度の者がこんなことを言うのは差し出がましいと思うのですが…」
「いいから早く」
ジェイドバインの口調が幾らかきつくなる。
「申し訳ありません…。その…、修道長から情報を聞き出すおつもりなんですよね?え…っと、実際見たら分かりますが、治療しないと話すらままならないかと…」
「またそれか…」
途端に興味が失せる。
「確かに端から見れば馬鹿げていると思われても仕方ないかもしれません…!」
声が震え出す。目の前で慕っていた人が見下された時、味わった苦い感情が蘇る。
意外な反応に、ジェイドバインはその青年に視線を戻した。