第2章 柔な舌に釘を打つ
「エクソシスト様の言い分は最もです。しかし、そばで見ていた私には理解できます。あの場での隊長の判断に誤りはなかったと!」
全てを言い切った彼は、涙を流し、鼻を啜りながら懲罰の時を待った。しかしジェイドバインの口から出たのは意外なものだった。
「分かったから、男が泣くな…。あんたらファインダーに落ち度はない、勿論お前の隊長にも。それでいいだろう?」
「目的のために努力するのは当たり前。ただ一つミスがあったとすれば、それは'結果'だ。言い換えれば、どんな手段を使ってでも結果さえ出していれば何の問題もなかった」
ジェイドバインは"どんな手段を使ってでも"を強調して言う最中、罪悪感に似た感情を少々抱き、それと分からぬようにそっと目を伏せていた。
「それは時に、良心が痛みます…」
青年からその言葉を聞けたことが、言った本人を何故か安心させていた。ジェイドバインは優しく微笑みかける。
「でもな、やはり結果が全てなんだ」
それが取り返しの付かないことなら尚更。
ふと一人の少女の瞳が揺らいだように見えたのは、気のせいだろうか。
「そういう訳だ。私は強行手段をとらせて貰う」
薬を飲ませることが絶対に必要とは思えない。早急に済みそうな手段があるならそれを試すべきだ。
対象がイカレていようが、いまいが関係ない。最終的に、結果さえ出せればいいのだ。
ジェイドバインは悪戯っぽく口端を持ち上げて踵を返した。