第3章 その傷を、、、
「あらあら、悲鳴嶼さん。お久しぶりです。」
診察室の中には、鈴音よりも若い女の子が座っていた。
「この方が診て欲しいとおっしゃっていた方ですか?
初めてまして。胡蝶しのぶと申します。」
「鈴音と申します。よろしくお願いします。」
「、、、胡蝶、あとは頼んだ。」
悲鳴嶼はそれだけ言うと、診察室のドアを閉めた。
「鈴音さん、でよろしいかしら?」
しのぶに見つめられて、鈴音はなんとなく顔が赤くなる。女の目から見ても、しのぶは美人だ。
「傷を診せて頂けますか。」
「はい。」
鈴音は椅子に座り、後ろを向くと、帯を解き、背中を晒した。
「あらあら、これは。触れても良いですか?」
「どうぞ。」
鈴音の傷跡はところどころが赤黒かった。鬼の血気術だろうか。それでは十年も持たないだろう。鬼の血でもかかったのだろうか。
しのぶは傷跡に触りながら色々な可能性について考える。
「もし良ければ、少し傷跡の皮膚を取らせてもらえませんか?新たに鬼について何かわかることがあるかもしれませんし、鈴音さんに合ったお薬をお作りすることが出来ると思います。」
しのぶの言葉に、鈴音は頷いた。自分でも役に立てるのなら嬉しかった。