第12章 9ページ目 たまにはこんな休日を。
「あのにぇ、ほっぺいひゃい」
だからね、そろそろ本気で離してほしいなぁ。
お願いだよ五条くん。
さらにじぃっと見つめると五条くんは溜め息を吐いて、ようやく頬っぺたから手を離してくれた。
「ンな、うるうるした目で見んなよ」
そう言ってトン、と額を突かれる。
はぁー…やっと離してもらえたぁ…おかえりわたしの頬っぺちゃん。
ちょっと熱をもっているような頬に手を当てて、ほうっと息を吐いた。
すると、まだ五条くんがこちらを見ていることに気づいて首を傾げる。
なぁに?五条くん。
「…そんなに痛い?」
んん?やりすぎたって思ってるのかなぁ?
五条くんは結局、気にしちゃうんだよねぇ。
「んー、痛いというか…ちょっとじんじんする、かなぁ」
そう答えると、なんともいえない沈黙がおりる。
スッと大きな五条くんの手が顔に伸びてきて、頬に当てたわたしの手をすっぽりと覆い隠すように触れる。
そのままきゅっと軽く掴まれると、ゆっくり頬から手を外されて顔を覗き込むように見られた。
んんーーちかいっ、距離が近いよ五条くんんっ。
さすがに三十センチ以内という近距離に五条くんの整った顔があると、恥ずかしい気持ちと熱が頬を中心にぐぐっと集まってくる。
サングラスの隙間から見える上目遣いの青色に、頭がくらくらしそうだ。
「少し赤いな…悪い、やりすぎた」
ああっ、ちがうっ、違うんです五条くん!
これは五条くんの顔が近すぎ問題による乙女の恥じらいから赤くなっちゃっただけなの。
んん、でも、ちょっとしゅんとした感じの五条くん可愛いなぁ。
「五条くん、痛くないから大丈夫だよ」
「ほんとに?」
「うん!だからね、その…そろそろ、手を離してほしいかなぁーって…思う」
うん、実はさっきからずっと両方の手を掴まれたままなんだよね。
顔近いし両手捕まってるし、なんだろうコレ。
まるで追い詰められているようなこの変な体勢。
なんだか居心地悪くて、そわそわドキドキするから早く離してほしいなぁ。
「んー……お前って、小せぇよな」
曲げていた背をゆっくり元に戻して、五条くんが掴んだままのわたしの手を軽くにぎにぎする。
あれ?人のお話聞いてたかな五条くん。