第12章 9ページ目 たまにはこんな休日を。
眉間にシワを寄せると、もう一度五条くんを下から上まで順に見やる。
そしてある一点で目を止めると、再び思う。
そう、問題は胸じゃない。
だって……だって、五条くんもぺったんこだもんっ!!!
「おーい。ちゃんはさっきから、なに無言で百面相してんだよ…っと」
「わっ」
どすっと重そうな音を立てて五条くんがソファへ腰を下ろし、わたしのすぐ横のシートがぐぐっと深く沈み込んだ。
他にも座る場所はあるのに、なぜかぴったり隣だ。
バランスを崩したこともあり、ちょっと不満そうに五条くんを見る。
「…なに見てんの、金とるぞ」
ニヤリと口端を上げる五条くんはサングラスも相まって、とてもガラが悪く見える。
うーん、五条くんて人を知らない頃なら本気にしたかもしれない…なんて思ったことが可笑しくて、ちょっと笑ってしまう。
もひとつ欠伸をこぼした五条くんはまだまだ眠たいのか、身体をソファの背もたれにどっしり預けて顔を仰向ける。
なんとなく眺めていた目線をそのダラけきった顔から首へと徐々に下げていけば、さきほど気にした胸元へと行き着いた。
うーん……全体的に夏油くんより細く感じるからぺったんこって思ってたけど、よーく見ると鍛えてるから胸筋がしっかりしていて厚みもそこそこにある。
これは、もしかして…もしかすると…わたしよりも胸囲ある、かも…なんて…えええっ?
自分で自分の考えにショックを受けていると、不意にぺちっと額を叩かれた。
びっくりして目をぱちぱち瞬かせれば、いつの間にかダラけるのをやめていたらしい五条くんがこちらをじいっと見ていて。
「お前さ、真剣な顔して人のどこ見てんの?」
え、どこって…どこって…胸筋………。
通常じっくり見るところではない場所をまじまじと見ていたことにハッとして、慌てて目を逸らす。
が、時すでに遅し。
罠にかかった獲物を追い詰めるように、ニンマリと意地悪につり上がっていく唇がゆっくり耳元に近づいて。
「…えっち」
ひぃいいんっ!!
そんな無駄にいい声出さないでぇーーっ!!
みみっ、耳がっ、ぞわぁああってしたぁーーーっ!!!