第10章 7ページ目 初めての任務(2)
「邪魔するにきまってんだろ!」
「悟は車の中で癒やされただろう。今度は私の番だ」
ぎゃーぎゃー。ぎゅむぎゅむ。
う、うぐぬぅ……息が、息がくるしくなってきたぁ…!!
誰か、誰かたすけて…思わず隙間から伸ばした手をひらひらさせると、それをきゅっと優しく握られる感触。
…しょ、硝子ちゃん!!!
硝子ちゃんは小さく頷いて見せると手を離し、スパアンッ!ゲシッ!と力いっぱい夏油くんの頭と五条くんの背中を叩き蹴ってくれた。
ゆるんだ腕に今だ!と抜け出してほうっと息を吐きだす。
ふはぁ~、空気おいしい。
「大丈夫か?」
「う、うん。ありがとう~硝子ちゃん!」
よしよしと頭を撫でてくれる硝子ちゃん。
ついでとばかりにぎゅうっと抱きつけば、当然のようにぽんぽんと背中をあやすように撫でてくれる。
うあん、すきぃ。
「いってぇな!なにすんだ硝子っ」
「硝子、痛いんだけど?」
「うるさいクズ共、を苛めた罰だ」
あああ、かぁっこいい~っ。
クイッと顎を上げて、上から目線に言ってのける硝子ちゃんがイケメンすぎる。
「べつに苛めてなんかねぇだろ」
「私も、そんなつもりは…」
「黙れ、が苦しがってるのにも気づけない鈍感ヤローが。とくに夏油は有罪…そうだな、帰りにファミレスで全員分なにか奢ってもらおうか」
「え、あの、硝子ちゃん?」
そんな、それはさすがに夏油くんがかわいそうでは?
べつに悪気があって潰そうとしたわけじゃないだろうし。
そう思って止めようとしたら、硝子ちゃんに人差し指をシーッと当ててぱちり片目を瞑られて。
「これでいいんだよ」
こっそり言われたそれに、よくわからないまま硝子ちゃんが言うならと頷いた。