第8章 6ページ目 しゃぼん玉とばせ。
「うわあ…きれいだねぇ…」
「そうだな」
五条くんを見れば、ズラしたサングラスから覗いた美しい青色が光を複雑に反射してきらきらと輝いていた。
きらきらした綺麗なものが、またきらきらした綺麗なものを見つめている。
それに不思議とドキドキしてしまって、思わずぽけっと五条くんに見惚れてしまう。
五条くんって、きれいだなぁ…。
「手作りにしては綺麗じゃん」
「硝子ちゃんっ?」
突然、後ろから覆いかぶさるようにぎゅっと抱きつかれて、ちょっとびっくりする。
あ、ほんのり煙の匂い…と混ざった硝子ちゃんのいい香り。
うーん、やっぱり大人っぽい。
「実験は成功かな?」
「夏油くん」
五条くんとは反対隣りに夏油くんがスッと並んでくる。
ふたりとも、もう笑いはおさまったのかな。
「うん、もちろん!大成功だよ。ね?五条くん」
「え?いや強度実験だろ?これってどうなの?」
さっきからすぐ割れんだけど…って、それ絶対吹く勢いが強すぎるんだよ。
もっと優しく吹くの。
そーっと、ふぅーって。
硝子ちゃんが下手くそって笑って、夏油くんが私にも貸してって手を出すけど五条くんはそれを避ける。
避けて、避けて、避けて…あ、夏油くんにしゃぼん玉攻撃した。
ぽぽぽぽって小さいしゃぼん玉たちが飛び出て、夏油くんの鼻先でぱちぱちぱちんって弾け散る。
なんてメルヘンな光景。
目を瞬かせて驚く姿は、ちょっとかわいらしくも見える。
五条くんが笑って、硝子ちゃんも笑って、つられてわたしの体も揺れた。
きょとんとした夏油くんと目が合って、ふたり同時にぷっと吹き出してしまう。
「ふふっ、ふ…」
「「「「あはははははは!!!!」」」」
うひひ、楽しいなぁ。
笑いが次から次にこぼれ出てくる。
ほんとに、どうでもいいことが面白くて。
楽しくてしかたない。