第1章 1ページ目 初日!
「ごぉーじょうくーん、おーはーよーーう!」
「…………」
キャンディーの棒をくるくる回して待つけど、反応はない。
生きてる?だいじょぶ?
キャンディーをひと舐めしつつ、もっかい呼んでみる。
「ごぉーじょうくーん、あーさだよーーう!!」
「……るせ」
おお、見事なしかめっ面だ!
そんな顔してもかっこいいって、五条くんの顔は得ですなぁ。
すんごく整ってるからなぁ。
顔をすこし上げてぼんやりしている五条くんの頭をつんつんしてみる。
無反応な五条くんおもしろい。
さらになでなでしながら、ふと昨日の出会いを思いだす。
硝子ちゃんと夏油くんと五条くんの三人は、わたしよりも早くに入寮していて。
わたしが挨拶するときには、すでにみんなお互いを下の名前で呼ぶほどなじんでいた。
そんなところへ入って浮いちゃわないかなーって心配もしたけど、ほんといらぬ心配だったようで。
硝子ちゃんも夏油くんもにっこり笑顔でわたしを受け入れてくれた。
やさすぃーすきぃ。
ところがどっこい五条くんは違った!
さすがお坊ちゃま!
よくわかんないけど!
初対面から「あ?なんだガキんちょ、迷子か?」って爆弾をぶん投げてきたのです。
でもわたしはえらかった、すぐにぷっつんすることなくにっこり笑って自己紹介をした。
ちょっと口端がぴくぴくしてたのは気のせいだ。
そしたら今度は「は?マジで言ってる?どう見てもクソガキだろ」って地雷踏んじゃうからしょうがないよね。
わたしは投げた。
術式でぎゅぎゅっとした結界を。物理的に。
五条くんの顔面めがけて思いっきり。
残念ながら五条くんの術式に防がれちゃったけど。
うーん、アレはずるいよねー。無下限。
でも、わたしも「お前の術式めちゃくちゃだな!」ってほめられたからよし。
ん?ほめられた……よね?うん!
まぁそんなこんなでちょっと軽くやりあったわたしと五条くん。
最後には「なかなかやるじゃねーか」「へへ、お前もな」って感じで仲良くなったのです。
めでたしめでたし。
「おい、ニヤけた顔してなに食ってんだよ?」
ほっぺたムニュッて引っぱられた。いひゃい。
まってまって、口開いてヨダレでちゃうから。