第6章 4ページ目 お花見わっしょい(3)
「え、マジでいいの?しないの?」
「うん!しなくていい」
だから、そろそろ手を退かしてほしいなぁ五条くん。
けっこう重たいんだよ、ふたりの手。
それとなく左肩の上にある手にぺたっと触れて、じっと見つめる。
すると納得してくれたのか、自然に大きな手はゆっくり離れていく。
「本当に、いいのかい?」
「本当に!大丈夫だから」
そんなに心配いらないよ、夏油くん。
うん、こっちも重たいなぁ。
右肩の上にある手をぽんぽんっと軽く叩いて、じっと見てくる夏油くんに頷けば、こちらも手が離れていった。
よし!
肩が軽くなったところで、すすっと少し下がって二人に向き直る。
「ふたりとも、ありがとう」
心配のしかたが、ちょっと、アレだけどね。
わたしが激しく嘆いたから、何とかしようとしてくれたんだよね?
気持ちはうれしかったよー。
えへへ、と笑ったら右に左に頭をわしゃわしゃ撫でまわされた。
うわあ、ぐしゃぐしゃんなるぅ~~!
「ま、お前がいいならいっか」
「そうだね、少し残念な気もするけれど」
「夏油くんは、またそういうこと言う~」
「傑ってロリコンなの?」
「は同じ歳だろう」
「そうだそうだ!五条くん失礼っ」
「いやだって…どう見ても、外見年齢小学生じゃん」
五条くんに、丁寧に上から下まで見られた。
ほんっと失礼すぎるからね!それ。
「さすがに…これからまだ成長するだろう」
夏油くんの目が、しれっとわたしの全体像をなぞる。
はい、夏油くんもアウトー!デリカシーはどこいったの?
なんてわたしの心の突っ込みを余所に、ふたりは会話を続ける。
「でも、こいつで勃つ?勃たねーだろ」
「んん…それは、うーん…」
五条くんの言葉に、夏油くんがなにやら真剣な顔をして悩みはじめた。
………たつ?…立つって、なにが…?
首を傾げそうになって、ふと二人の視線の先に気づいて目で追えばそこは…。
「……ふ、たりともっ、さいってぇええ~~~~!!!!」
ぎゅうんと全身に巡る呪力を一気に手元へ集めて、最大級の結界ボールを二人めがけて放った。
うあああんっ、もうやだぁあーーー!!